梅核気② 東洋医学で読み解く
梅核気 井穴刺絡 自律神経
東洋医学で読み解く梅核気
「気」と「痰」が喉に絡まるしくみ
前回は、喉に何かが詰まったような違和感=「梅核気」についてご紹介しました。
今回は、東洋医学ではなぜ梅核気が起こると考えるのか、そのしくみをお話しします。
少し専門的な考え方も出てきますが、できるだけやさしい言葉でお伝えしますね。
東洋医学は「喉だけ」を見ない
西洋医学では、喉の違和感の原因を喉や食道に探します。
一方、東洋医学では、身体全体のバランスの崩れが、たまたま喉に現れていると考えます。
ですから、梅核気の治療では「喉」だけでなく、ストレスの状態、胃腸の調子、睡眠、体質など、全体を見ていきます。
梅核気が起こる3つのステップ
ステップ1 ストレスで「気」が滞る
東洋医学では、身体の中を流れるエネルギーを「気」と呼びます。
この気の流れをスムーズに保つ役割を担っているのが「肝(かん)」です。
ところが、ストレスや緊張、我慢が続くと、肝の働きが乱れ、気の流れが滞ってしまいます。
「言いたいことを飲み込む」「感情をぐっとこらえる」――。そうした毎日の積み重ねが、喉や胸のつかえ感として現れやすいのです。
ステップ2 胃腸が弱り「痰」が生まれる
滞った気は、やがて胃腸の働き(東洋医学でいう「脾(ひ)」)にも影響します。
ストレスで食欲が落ちたり、胃がもたれたりするのはこのためです。
胃腸の力が弱ると、飲食物をうまく処理できず、身体の中に余分な水分のかたまりがたまります。これを東洋医学では「痰(たん)」と呼びます。
ひとことメモ
ここでいう「痰」は、咳と一緒に出る痰だけを指すのではありません。
身体の中で流れが悪くなった、ねばりのある余分な水分全般を表す言葉です。
ステップ3 「気」と「痰」が喉で絡み合う
滞った「気」と、生まれた「痰」。
この2つが上へと昇り、喉のあたりで絡み合ってしまうと――「梅の種が引っかかっているような感覚」が生まれます。
実際には何もないのに、つかえ感が消えない。それは、目には見えない気と痰のかたまりが喉にとどまっているからだと、東洋医学では考えます。
梅核気が起こる流れ
ストレスによる気の滞り
↓
胃腸の働きが弱り、余分な水分(痰)が生まれる
↓
気と痰が喉で絡み合い、つかえ感になる
あなたはどのタイプ?
同じ梅核気でも、どの要素が強いかは人によって違います。
気の滞りが強いタイプ
✓ ストレスや緊張で症状が強くなる
✓ ため息が多い、胸や脇腹が張る
✓ イライラしやすい、気分が落ち込みやすい
✓ 女性の場合、生理前に症状が悪化しやすい
痰(余分な水分)が多いタイプ
✓ 喉に痰がからむ感じがある
✓ 身体が重だるい、むくみやすい
✓ 食後に眠くなる、胃がもたれる
✓ 甘いものや脂っこいものが好き
胃の逆流を伴うタイプ
✓ げっぷや胸やけがある
✓ 酸っぱいものが上がってくる感じがある
✓ 食後や横になったときに症状が気になる
複数のタイプにまたがる方も多くいらっしゃいます。当院では、舌の状態を見る「舌診(ぜっしん)」や問診から、お一人おひとりの状態を見極めていきます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)とのつながり
喉の違和感で病院を受診すると、「半夏厚朴湯」という漢方薬が処方されることがあります。
この漢方薬は、まさに気の巡りを良くし、痰をさばくことを目的としたもの。梅核気の代表的な処方として、古くから使われてきました。
鍼灸も、目指している方向は同じです。気の流れを整え、胃腸の力を回復させ、喉の詰まりをほどくことを、ツボへの刺激で行います。
漢方薬と鍼灸を併用することで、身体の変化を後押しできる場合もあります。
喉だけを見ていても、ほどけない理由
梅核気の背景には、ストレス、胃腸の弱り、生活リズムの乱れなど、いくつもの要素が重なっています。
喉の違和感だけを取ろうとしても、根っこにある気の滞りや胃腸の弱りが残っていれば、またぶり返してしまうことがあります。
だからこそ、東洋医学では身体全体の巡りを整えることを大切にしているのです。
