五十肩に対する鍼灸アプローチ
井穴刺絡 耳穴医学 自律神経 肩関節周囲炎・五十肩
五十肩に対する鍼灸アプローチ
董氏奇穴・耳穴・井穴刺絡の役割を解説
【シリーズ:肩の痛み・五十肩と鍼灸 第3回】
第2回では、東洋医学の視点から
五十肩の原因を解説しました。
今回はいよいよ、
当院がどのようなアプローチで
五十肩に取り組むかをご紹介します。
当院の基本的な考え方
当院では、五十肩を
「肩の炎症だけ」と見ず、
気血の巡り・腎肝の状態・
自律神経のバランスを含めた
「体全体の問題」として
取り組みます。
そのために、
3つの治療モダリティを
組み合わせています。
① 董氏奇穴(とうしきけつ)
肩に触れずに肩を治す
「董氏奇穴」とは、
董家に伝わる秘伝の
特別なツボの体系です。
通常の経穴(ツボ)とは異なる場所にあり、
少ない本数で高い効果を
引き出すのが特徴です。
五十肩への応用として、
手や足のツボを使い、
遠くから肩の炎症・気血の滞り・拘縮に
アプローチします。
患部に直接触れないため、
急性期でも刺激が強すぎずに
対処できます。
「肩が痛いのに手に鍼を打つの?」
と不思議に思われるかもしれません。
東洋医学では全身が経絡
(エネルギーの通り道)で
つながっており、
遠隔のツボから患部に
影響を与えることができます。
② 耳穴治療(黄氏式)
施術後も24時間ケアを続ける
耳には、体の各部位に対応した
「耳穴(耳ツボ)」があります。
当院では「黄氏式耳穴」という
特別な体系を用い、
王不留行(おうふるぎょう)
という植物の種を粒にしたシールを
耳のツボに貼付します。
これにより、次回来院まで
継続的に刺激を維持できます。
また、ご自身で耳を押して
セルフケアもできるため、
「通院と通院の間も
改善を続ける」という
効果があります。
夜間痛のケアとして、
就寝前に耳ツボを押す習慣を
つけていただく方も多いです。
③ 井穴刺絡(せいけつしらく)
自律神経を整えて痛みの背景にアプローチ
「井穴(せいけつ)」とは、
各指の先端にあるツボです。
ここに刺絡
(ごく少量の出血を促す処置)を行うことで、
自律神経の調整を図ります。
五十肩には、
慢性的な痛みによるストレスや
睡眠不足が自律神経の乱れを招き、
さらに症状を悪化させるという
悪循環がしばしば起きます。
井穴刺絡でこの悪循環を
断ち切ることが目的の一つです。
ステージによって
施術の方針が変わります
◆ 急性期(炎症が強い時期)
刺激量を抑えた施術を選択。
過剰な刺激は炎症を
悪化させることがあるため、
慎重に対処します。
夜間痛の緩和が
最初の目標です。
◆ 慢性期(拘縮期)
拘縮した筋肉・腱の緩和を目的に、
遠隔ツボへのアプローチと
耳穴ケアを組み合わせます。
可動域の回復をめざします。
◆ 回復期
気血の巡りを整えながら、
完全回復に向けて
施術を継続。
再発防止の観点からも
体質改善をめざします。
次回予告
第4回(最終回)は
「五十肩にまつわるよくある誤解」
を取り上げます。
「動かせばいい」「温めればいい」など、
広まっているけれど
実は間違っている対処法を
一つひとつ正していきます。
