東洋医学で考える副鼻腔炎のメカニズム
副鼻腔炎 自律神経
東洋医学で考える副鼻腔炎のメカニズム
前回は、副鼻腔炎の現状と
「薬だけでは解決しにくい理由」についてお話ししました。
今回は、東洋医学が副鼻腔炎をどのように捉えているのか、
そのメカニズムをわかりやすくご説明します。
東洋医学は「鼻だけ」を見ない
西洋医学では、副鼻腔炎は
「副鼻腔の粘膜に起きた炎症」として捉えます。
治療も、炎症を抑える薬や、膿を排出する処置が中心になります。
一方、東洋医学では、鼻の症状は
「身体全体のバランスが崩れた結果」と考えます。
なぜ粘膜が腫れやすいのか。なぜ膿がたまりやすいのか。
その根本にある身体の状態を読み解き、
全体を整えることで改善を目指します。
副鼻腔炎に関わる身体の仕組みを、3つのステップで見ていきましょう。
ステップ1:「肺」の機能低下 ― バリアが弱まる
東洋医学には「肺は鼻に通じる」という考え方があります。
ここでいう「肺」は、
西洋医学の肺臓器だけでなく、
呼吸器系全体や、皮膚・鼻・のどの粘膜を守る
「バリア機能」を含む広い概念です。
東洋医学ではこのバリア機能を
「衛気(えき)」と呼びます。
衛気がしっかり働いていれば、ウイルスや細菌、
冷たい空気などの外からの刺激に対して、身体はしっかり防御できます。
しかし、疲労やストレス、睡眠不足、冷えなどが重なると、
肺の機能が弱まり、衛気も低下します。
すると、鼻の粘膜を守る力が落ち、風邪をひきやすくなったり、
炎症が起こりやすくなったりします。
副鼻腔炎を繰り返す方の多くは、
この「肺のバリア機能の低下」が根底にあると考えられます。
ステップ2:「脾」の弱り ― 水分代謝が滞る
東洋医学の「脾(ひ)」は、消化器系の働きを指します。
食べたものを消化・吸収し、
身体に必要なエネルギーや栄養を全身に届ける役割です。
脾の働きが弱ると、体内の水分代謝がうまくいかなくなります。
本来なら排出されるべき余分な水分や老廃物が
身体の中に停滞し始めます。
東洋医学では、この停滞した水分を
「痰湿(たんしつ)」と呼びます。
副鼻腔炎で見られる粘り気のある鼻水、鼻づまり、のどに流れる後鼻漏――
これらは「痰湿」がたまった結果と考えます。
「食欲が落ちやすい」
「胃腸が弱い」
「身体がだるい」
という方は、脾の弱りが鼻の症状に関係している可能性があります。
ステップ3:「熱」の蓄積 ― 炎症が長引く
水分や老廃物が体内に長く停滞すると、やがて「熱」に変わります。
東洋医学では、この状態を「湿熱(しつねつ)」と呼びます。
副鼻腔炎で見られる黄色く粘り気の強い鼻水、
額や頬の痛み、匂いがわからないといった症状は、
この「熱の蓄積」が関係しています。
慢性副鼻腔炎がなかなか治らないのは、単に炎症が続いているだけでなく、
体内に「熱を生み出しやすい環境」ができてしまっているからです。
抗生物質で一時的に炎症を抑えても、
この環境が変わらなければ、また繰り返してしまいます。
3つのステップをまとめると
肺の機能低下(バリアが弱まる)
↓
脾の弱り(水分代謝が滞る)
↓
熱の蓄積(炎症が長引く)
この3つが連鎖して、副鼻腔炎が慢性化・再発しやすい身体の状態を作っています。
鍼灸では、この3つすべてに同時にアプローチします。
肺の機能を回復させてバリアを立て直し、
消化器の力を整えて水分代謝を改善し、
余分な熱を解消する。
「鼻の炎症を止める」のではなく、
「炎症を起こしにくい身体を取り戻す」ことを目指します。
あなたの副鼻腔炎はどのタイプ?
以下の傾向がある方は、東洋医学的なアプローチが合っている可能性があります。
□ 風邪をひきやすい、季節の変わり目に体調を崩しやすい → 肺の機能低下タイプ
□ 胃腸が弱い、食後に眠くなる、身体がむくみやすい → 脾の弱りタイプ
□ 鼻水が黄色くドロッとしている、顔が熱っぽい → 熱の蓄積タイプ
もちろん、複数のタイプが重なっている方がほとんどです。
どのタイプがメインなのかは、実際の問診や舌の状態を見て判断します。
次回は、当院が副鼻腔炎に対してどのような鍼灸治療を行っているのか、具体的にお話しします。
