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【女性の頻尿②】

頻尿 井穴刺絡 耳穴医学 自律神経

東洋医学で考える頻尿のメカニズム

─「腎」と「気」と「水」の関係

 

前回の記事では、

女性の頻尿の一般的な原因について

お伝えしました。

今回は、東洋医学の視点から

「なぜ頻尿が起こるのか」を掘り下げます。

 

東洋医学では、頻尿を「膀胱だけの問題」とは考えません。

身体全体のバランスの崩れとして捉え、

その根本にアプローチすることを

大切にしています。


東洋医学の「腎」は西洋医学の腎臓とは違う

東洋医学で言う「腎(じん)」は、

西洋医学の腎臓とは少し意味合いが異なります。

東洋医学の「腎」は、尿の生成・排泄だけでなく、

生命エネルギーの根本を司る臓器と考えています。

成長・老化・生殖にも深く関わり、

「先天の本(せんてんのもと)」とも呼ばれます。

 

この「腎」の力が衰えると、

尿をしっかり溜めておく力

東洋医学では「固摂(こせつ)」と呼びますが

その作用が弱まり、頻尿につながるのです。


頻尿を引き起こす3つのメカニズム

東洋医学では、頻尿の原因をいくつかの

パターンに分けて考えます。

代表的な3つをご紹介します。

 

【第一段階】

腎の力の低下

加齢や過労、冷え、慢性的な疲れなどにより、

腎のエネルギーが消耗します。

腎の力が弱まると、


・尿を膀胱にしっかり溜めておく力(固摂)が低下する
・身体を温める力(陽気)が不足し、下半身が冷える
・夜間に尿量が増えやすくなる

といった変化が起こります。

特に夜間頻尿は、この「腎」の衰えが

深く関わっていることが多いです。

 

【第二段階】

ストレスによる「気」の滞り(肝気鬱結)

東洋医学の「肝(かん)」は、

気の流れを全身にスムーズに巡らせる役割を持っています。

ストレスや精神的な緊張が続くと、

この肝の働きが乱れ、「気」の流れが滞ります。

これを「肝気鬱結(かんきうっけつ)」

と呼びます。

気が滞ると、膀胱の機能にも影響し、


・少量の尿でも過敏に反応してしまう
・トイレのことが頭から離れなくなる
・緊張するとさらに悪化する

という状態を引き起こします。

心因性の頻尿や、

検査で異常が見つからないタイプの頻尿は、

この「気の滞り」が原因であることが少なくありません。

 

【第三段階】

水分代謝の乱れ(脾の機能低下)

東洋医学の「脾(ひ)」は、消化吸収だけでなく、

体内の水分バランスを調整する働きも担います。

脾の力が弱まると、


・体内に余分な水分(湿)が溜まりやすくなる
・むくみや冷えが起こりやすくなる
・膀胱に負担がかかり、頻尿が悪化する

という悪循環が生まれます。

「冷えると余計にトイレが近くなる」

「むくみやすい」という方は、

この脾の水分代謝の乱れが関係している可能性があります。

 

3つのメカニズムは連動している

大切なのは、これらの3つの変化は独立して起こるわけではなく、

互いに影響し合っているということです。

腎の力が衰えると、身体全体のエネルギーが低下し、ストレスに対する抵抗力も弱まります。

すると肝の気が滞りやすくなり、その影響で脾の機能も低下して水分代謝が乱れる……。

 

このように、一つの不調が次の不調を呼ぶ連鎖が、

慢性的な頻尿の背景にあります。

だからこそ、東洋医学では「膀胱だけ」ではなく、

身体全体を診て治療することを重視するのです。

 


薬が効きにくい頻尿と東洋医学

西洋医学の薬(抗コリン薬やβ3作動薬など)は、

膀胱の過剰な収縮を抑える事で頻尿を改善します。

効果がある方も多いですが、

一方で「薬を飲んでいるのに改善を感じない」

という声があるのも事実です。

これは、膀胱の収縮だけでなく、

冷えやストレス、水分代謝の乱れなど、

身体全体のバランスの問題が残っているからかもしれません。

東洋医学はこうした「身体の土台」にアプローチする医学です。

薬で膀胱の症状を抑えつつ、

同時に東洋医学で身体全体を整えるという併用のアプローチは、理にかなった選択肢と言えます。

 


まとめ

東洋医学では、頻尿を「腎の力の低下」「気の滞り」「水分代謝の乱れ」

という3つの視点から捉えます。

これらは互いに連動しており、一つだけを治しても根本的な改善にはつながりにくいのが特徴です。

 

次の記事では、この東洋医学の考え方に基づいて、

当院ではどのような鍼灸治療を行っているのかを具体的にご紹介します。

 

▶ 次の記事
【女性の頻尿③】鍼灸で頻尿にアプローチする

─ 当院の治療の考え方と3つの特徴